『抜け穴の会議室』(ネタバレあります) [お芝居のこと]
11月14日(水) 赤坂RED THEATER 『抜け穴の会議室』
佐々木蔵之介と仲村トオルの二人芝居を観てきました。
ぴあやe+の先行予約の申込みを忘れ、一般発売も思いっきり忘れ、
ほとんど諦めていたこのお芝居。
ぴあの「敗者復活予約」があり、最後の祈りを込めて申し込んだら大当たり!
行くことができました。
初めての“生”蔵之介さん。2回目の仲村トオルさん。
テーマは「輪廻」。
舞台は死んでしまった後の世界。
人は死んだら天国でも地獄でもない、とある部屋に行く。
その部屋で「前世の復習」をし、「後世の予習」をする。
前世の復習で納得をすると、生まれ変わる。
近い部屋の人ほど、前世での繋がりは濃い。
隣り合った二人の男のお話。
仲村トオルさん演じる「部長」は先に死んでいて、
後から佐々木蔵之介さん演じる「先生」がやってくる。
年代ごとに前世の記録は本になっていて、
二人の共通の記録が新たに追加されるところから、この物語は始まった。
二人が同時に本を触ると、フラッシュバックが起こり、その一節がよみがえる。
前世での初めての出会い。
2度目の再会。
更に古い年代を見ると前々世でも繋がりがあり、実は兄弟だった。
もっと昔も繋がりがあって、「敵対する部族」「夫婦」「領主と物乞いする人」などなど。
ストーリーの鍵を握るのは、兄弟だった前々世と友人だった前世の2世代。
「因果応報」というのがいいのか、実はギブ&テイクが時空を越えて成立しているらしい。
なんだか不思議な感覚になる芝居だった。
「人は死んだら生まれ変わる」とか、「前世で繋がりがあった人とは、後世でも巡り合う」とか。
あまりそういう話は信じてなかった。
でもこの芝居を観ていたら、「もしかしてそんなことがあるのかも・・・・」って。
「あったら素敵な事かも」って思えてきた。
前世で恨まれて、後世で復讐されるのは嫌だけど・・・・。
二人芝居はやっぱり役者の演技力が問われる。
どちらかが良すぎたりするのもバランスが悪い。
同じぐらいの力が上手く重なると、素晴らしい舞台になる。
蔵之介さんは生の舞台を観るのは初めてだったけど、
ビデオで「惑星ピスタチオ」の舞台などを観たことがあった。
テレビや映画でももうおなじみで、演技力はさすが!
ふり幅の広いどんな役でもできる役者さんだ。
一方仲村トオルさんは、正直驚いた。
ビーバップやあぶない刑事の頃から好きな俳優さんで、ドラマや映画を見てきた。
舞台の「ドライブイン・カリフォルニア」を本多劇場まで観に行ったけど、
大人計画の雰囲気が独特すぎるのか、もうちょっと、いや、もっともっと存在感が欲しかった。
それから何本も舞台に出演されていたけど、私は観に行く機会がなく、
今回の二人芝居を観るに至ってしまった。
この二人のバランスが、本当に良かった。
台詞のテンポもいい。
存在感もバランスがいい。(背格好が同じくらいだったのもあるかな?)
そしてやっぱり、演技力のバランスも最高に良かった。
最初から結構笑いが織り込まれていて、二人の掛け合いが場を盛り上げる。
どちらかと言うと、蔵之介さんがボケてトオルさんが突っ込みな感じ。
でもそうとも限っていなかったけど・・・。
二人とも切り替えが早い。
穏やかな表情や会話から、一変してシリアスな場面になる。
怒鳴りあうような場面から、一呼吸で穏やかな表情を取り戻す。
どちらも鬼気迫る演技で劇場がピリっと張り詰めたかと思うと、
ゆる~い感じの空気に戻される。
上手い、本当に上手いのだ。
演出も飽きない。
最初に笑いを多く含ませて、この芝居に引き込ませる。
このストーリーがどんな風に進んでいくのか。
伏線を織り交ぜつつ、なんとなく分かるようになってる。
でも、その伏線が大きな意味を持つものだという事に気付いたとき、
この芝居の本当のテーマに辿り着いた気がした。
心臓がドキドキする。
どんどん考えさせられる。
どんどん深みにはまっていく。
照明というか、舞台装置の一部になるのかな・・・・
プロジェクターを使って映像をステージの壁に当ててその場所を表現していた。
二人がいる部屋と、フラッシュバックしている場所。
その場所をプロジェクターを利用して表現していたのが、
私にとっては斬新で、面白いと思った。
90分のお芝居。
ちょっと短くて物足りないかなぁ?と思っていたけれど、そんなことは全然なかった。
濃密な時間。
余韻も十分楽しめる芝居だった。
あと1,2回行きたい。
でももうチケットがないみたい。
前回のTeam申の公演のDVDが会場で売られていたってことは、
この公演のDVDもきっと発売されるよね。
よし、楽しみに待ってよう!
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